「1級建築施工管理技士がいるので、解体工事業も取れますか」
解体工事業の許可を取りたい、業種を追加したいというときに、よくいただくご質問です。答えは「取れます。ただし、その人が試験に受かった年度によっては、もう1つ条件が付きます」です。
土木・建築の施工管理技士(1級、2級の一部の種別)は、解体工事業の営業所技術者になれます。ただし、平成27年度までに実施された試験に合格した人は、合格したあとに解体工事の実務経験が1年以上あるか、登録解体工事講習を修了していることが要ります。 解体工事業という業種が後からできたことによる決まりで、今も建設業法施行規則の附則に残っています。
この記事では、合格した年度で何が変わるのか、なぜ平成27年度で分かれるのか、施工管理技士以外でなれる人、とび・土工の経験の扱いを、条文と国土交通省・熊本県の資料にそって説明します。
この記事のポイント
- 解体工事業の営業所技術者になれる施工管理技士は、1級の土木・建築と、2級の土木(種別「土木」)・建築(種別「建築」「躯体」)です
- 平成27年度までの試験に合格した人は、合格後の解体工事の実務経験1年以上か、登録解体工事講習の修了が要ります。技術士(建設部門など)も当面の間、同じ扱いです
- とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなす経過措置は、令和3年6月30日で終わっています
- 平成28年5月31日までに、とび・土工工事業の許可で請け負った解体工事の経験は、とび・土工と解体の両方の実務経験に数えられます
- 施工管理技士のほかに、技術士・とび技能士・解体工事施工技士試験の合格者、実務経験の年数でもなれます
合格した年度で、必要なものが変わります

どの資格でどの業種の営業所技術者になれるかは、建設業法施行規則第7条の3の表で決まっています。解体工事業の欄の一つ目は、次の人です。
- 土木施工管理または建築施工管理の1級の第二次検定に合格した人
- 2級の第二次検定に合格した人のうち、土木施工管理は種別「土木」、建築施工管理は種別「建築」または「躯体」の人
ここに、施行規則を改正した省令(平成27年国土交通省令第83号)の附則第2条が、もう一つ条件を足しています。平成27年度までに実施された技術検定で、上の資格に合格した人は、「合格した者」が次のように読み替えられます。
- 解体工事に関する講習で国土交通大臣の登録を受けたもの(登録解体工事講習)を修了した人
- または、その技術検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験がある人
つまり、同じ1級建築施工管理技士でも、平成28年度以降の試験に合格した人は資格だけで足り、平成27年度までに合格した人は、講習の修了か合格後1年の解体工事の経験を合わせて示すことになります。この附則には期限が書かれておらず、今も読み替えが効いています。
| 合格した試験 | 解体工事業の営業所技術者になるには |
|---|---|
| 平成28年度以降の技術検定 | 合格だけでよい |
| 平成27年度までの技術検定 | 合格に加えて、登録解体工事講習の修了か、合格後の解体工事の実務経験1年以上 |
熊本県の「営業所専任技術者となり得る国家資格等一覧」(建設業許可の手びき 別添5)でも、1級・2級の土木・建築施工管理技士の解体工事業の欄に、同じ趣旨の注記(※2)が付いています。
平成27年度で分かれる背景|解体工事業ができた経緯

解体工事業は、建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)で新しくできた業種です。それまで「工作物の解体等を行う工事」は、とび・土工工事業に含まれていました(国土交通省の資料)。
解体工事業を設ける部分は、平成28年6月1日から効いています。このとき、すでに解体工事をしていた業者と技術者のために、次の経過措置が置かれました。
- とび・土工工事業の許可を持ち、解体工事を営んでいた業者は、施行の日から3年間、解体工事業の許可を受けなくても解体工事の営業を続けられた(改正法の附則第3条。すでに終わっています)
- とび・土工工事業の技術者(平成28年6月1日の時点で技術者の要件を満たしていた人)は、一定の期間、解体工事業の技術者とみなす(改正省令の附則第4条)
- 平成27年度までの施工管理技士の合格者・技術士は、講習の修了か1年の実務経験で解体工事業の技術者になれる(改正省令の附則第2条・第3条)
2のみなしの期間は、もとは令和3年3月31日まででしたが、登録解体工事講習の受講の機会が減ったことを受けて令和3年6月30日まで延長され、すでに終わっています。国土交通省は、経過措置の対象の技術者が令和3年7月1日以降に解体工事業の営業所技術者になるには、登録解体工事講習の受講か、解体工事業の実務経験(1年以上)のどちらかが必要だとしています。
3の平成27年度までの合格者の扱い(附則第2条)には、2のような期限が書かれていません。2が終わった今も、平成27年度までに合格した人は、資格に加えて講習の修了か1年の実務経験を示すことになります。
平成27年度までに合格した人がそろえるもの

講習か実務経験のどちらか一方で足ります。なお、区切りは合格した日ではなく、試験が実施された年度で見ます。
- 登録解体工事講習を修了する:講習は国土交通大臣の登録を受けた機関が行います。国土交通省のページでは、公益社団法人全国解体工事業団体連合会と、一般財団法人全国建設研修センターが実施機関として案内されています
- 合格後の解体工事の実務経験を1年以上示す:数えられるのは、技術検定に合格した後の、解体工事に関する経験です。合格する前の経験は数えられません
熊本県の早見表(R8.4~)では、資格を取ったあとに実務経験が必要な場合は、免許などの写しに加えて、必要な年数以上の「実務経験証明書」を出すことになっています。
講習で満たす場合は、講習を修了すると交付される登録解体工事講習の修了証で示します(修了証は改正省令の附則第2条で定められています)。
技術士(第二次試験の建設部門、または総合技術監理部門で選択科目が建設部門のもの)も、改正省令の附則第3条が当面の間、講習の修了か合格後1年以上の解体工事の実務経験を求めていて、国土交通省・熊本県の資料もそのように案内しています。
当法人では、合格証明書(監理技術者資格者証)で、どの年度の試験に合格したかを最初に確かめ、平成27年度までの合格であれば、講習と実務経験のどちらが早く確実にそろうかを、工事の資料を見ながら決めています。
施工管理技士のほかに、解体工事業の営業所技術者になれる人

建設業法施行規則第7条の3の表の解体工事業の欄には、ほかに次の人が並んでいます。
| 資格・経験 | 合格後などに要る解体工事の実務経験 |
|---|---|
| 技術士(建設部門、総合技術監理部門(建設部門に係るもの)) | 不要(ただし当面の間、上の講習か1年の実務経験が要る) |
| 1級とびの技能検定に合格 | 不要 |
| 2級とびの技能検定に合格 | 3年以上 |
| 登録解体工事試験に合格 | 不要 |
| 土木・建築・造園施工管理の1級の第一次検定、または造園施工管理の1級の第二次検定に合格 | 3年以上 |
| 土木・建築・造園施工管理の2級の第一次検定、または2級の第二次検定(土木は種別「鋼構造物塗装」「薬液注入」、建築は種別「仕上げ」、造園)に合格 | 5年以上 |
登録解体工事試験は、熊本県の一覧表では、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が行う解体工事施工技士試験が当たるとされています。
資格が無くても、建設業法第7条第2号の実務経験でなれます。解体工事について10年以上の実務経験がある人、または指定学科を卒業して決められた年数の実務経験がある人です。さらに施行規則の表には、次の組み合わせも並んでいます。
- 土木一式工事と解体工事で合わせて12年以上、うち解体工事が8年を超える人
- 建築一式工事と解体工事で合わせて12年以上、うち解体工事が8年を超える人
- とび・土工・コンクリート工事と解体工事で合わせて12年以上、うち解体工事が8年を超える人
とび・土工の経験は、解体工事の経験に数えられる?

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、実務経験の期間は重なっていれば原則として二重に数えないとしたうえで、例外を置いています。平成28年5月31日までに、とび・土工工事業の許可で請け負った解体工事の経験は、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業と解体工事業の両方の実務経験として二重に計算できる、という扱いです。
一方で、「とび・土工工事業の技術者であれば、そのまま解体工事業の技術者になれる」という経過措置は、令和3年6月30日で終わっています。今、とび・土工の経験を生かして解体工事業の営業所技術者になるなら、次のどちらかで考えます。
- 平成28年5月31日までにとび・土工の許可で請け負った解体工事の経験を、解体工事の実務経験として数える
- とび・土工・コンクリート工事と解体工事で合わせて12年以上、うち解体工事が8年を超える、の組み合わせに当てはめる
どの工事が「解体工事」に当たるかは、契約書や注文書の工事の中身で見ます。当法人では、工事の資料を1つずつ並べて、解体工事として数えられる期間を先に出してから、どの道で進めるかを決めています。
よくある質問

平成28年度以降に合格した1級建築施工管理技士は、講習を受けなくてもよいですか
受けなくてよいです。講習か1年の実務経験を求める改正省令の附則第2条は、平成27年度までに実施された技術検定の合格者だけが対象です。平成28年度以降の合格者は、施行規則第7条の3の表のとおり、合格だけで解体工事業の営業所技術者になれます。
2級建築施工管理技士(種別「仕上げ」)でも解体工事業の営業所技術者になれますか
合格だけではなれません。種別「仕上げ」の2級の第二次検定に合格した人は、合格後に解体工事について5年以上の実務経験が要ります。合格だけでなれる2級建築施工管理技士は、種別「建築」と「躯体」です。
とび・土工工事業の営業所技術者が、解体工事業の営業所技術者を兼ねることはできますか
同じ人が両方の要件を満たしていれば兼ねられます。建設業許可事務ガイドラインは、2つ以上の業種の許可で、1つの業種の要件を満たす人がほかの業種の要件も満たしているときは、ほかの業種もその人で要件を満たすものとして扱えるとしています。解体工事業のほうの要件(資格、または解体工事の実務経験)を、その人が別に満たしている必要があります。
出典・参考
- 建設業法施行規則(e-Gov法令検索)…第7条の3第2号の表「解体工事業」の項、建設業法施行規則の一部を改正する省令(平成27年国土交通省令第83号)附則第2条〜第4条
- 建設業法(e-Gov法令検索)…第7条第2号、建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)附則第3条
- とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなすこととする経過措置期間の延長について(国土交通省)
- とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなすこととする経過措置期間の延長について(熊本県)
- 建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日)(国土交通省)…実務経験の二重計算の例外(とび・土工と解体)、2つ以上の業種での同じ人の扱い
- 建設業許可の手びき(熊本県)…手びき(簡易版)の解体工事業の新設に伴う経過措置、別添5「営業所専任技術者となり得る国家資格等一覧」
- 建設業許可の申請書等について(令和6年12月13日から適用)(熊本県)…建設業許可に必要な書類【早見表】(R8.4~)
まとめ
- 1級の土木・建築施工管理技士、2級の土木(土木)・建築(建築・躯体)は、解体工事業の営業所技術者になれます
- 平成27年度までの試験に合格した人は、登録解体工事講習の修了か、合格後1年以上の解体工事の実務経験が要ります。技術士も当面の間、同じです
- とび・土工の技術者を解体の技術者とみなす経過措置は、令和3年6月30日で終わっています
- 平成28年5月31日までにとび・土工の許可で請け負った解体工事の経験は、両方の業種の実務経験に数えられます
- 資格が無くても、10年以上の実務経験や、ほかの業種と合わせた12年(うち解体8年超)の組み合わせでなれます
解体工事業の許可・業種追加は、当法人にご相談ください
ノーサイド行政書士法人は、熊本の建設業許可・経営事項審査・入札参加資格申請を支援している行政書士法人です。
- 合格証明書で、どの年度の試験に合格したかを確かめ、講習と実務経験のどちらでそろえるかを決めます
- とび・土工の許可で請け負ってきた解体工事を契約書から拾い出し、数えられる期間を出します
- 解体工事業の業種追加・新規の許可申請と、営業所技術者の変更の届出をまとめてお受けします
熊本県内どこからでもお受けしています。書類のやりとりは郵送とLINEでできます。受付は平日10:00〜17:00です。
関係する手続きは、建設業許可(新規)と業種追加のページで、要件・必要書類・費用・流れをまとめています。


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