「建築一式の許可は持っている。500万円未満の解体工事なら、解体工事業の登録をしなくても受けていいのか」
県のホームページを読んでも読み切れなかったので、2026年8月17日、熊本県庁の建設業担当に電話で確認しました。 答えは「そのとおりです。登録は不要です」でした。
結論から書きます。
- 土木工事業(土木一式)・建築工事業(建築一式)・解体工事業。この3つのうちどれかの建設業許可があれば、解体工事業の登録は要りません
- とび・土工・コンクリート工事業の許可では、不要になりません。ここがいちばん誤解されているところです
- 建設業許可を1つも持っていない会社は、金額が小さくても登録が要ります
ただ、この記事で本当にお伝えしたいのはその先です。「登録が要らない」ことと「解体工事業の許可を持っている」ことは、まったく別の話です。 毎年の決算変更届で、解体工事の売上をどこに書くかが変わります。そこも同じ電話で県に確認しました(→「解体の売上は、決算変更届のどこに書くのか」)。
この記事は解体工事を請け負う事業者の方向けです。熊本県での取扱いをもとに書いています。
この3つの許可のどれかがあれば、解体工事業の登録は要りません
解体工事業の登録は、建設業法ではなく建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)という別の法律の制度です。条文はこうなっています。
解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
建設リサイクル法 第21条第1項
カッコの中が答えです。土木工事業・建築工事業・解体工事業。この3つの許可を受けている人は、そもそも登録の対象から外れています。
一般建設業か特定建設業かは問いません。知事許可か大臣許可かも問いません。
熊本県のホームページにも、同じことがはっきり書いてあります。
ただし、建設業法の規定に基づく「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」の許可のいずれかを受けている方は、解体工事業の登録の必要はありません。
熊本県「解体工事業の登録について」
とび・土工工事業は、この3つに入っていません
ここがいちばん多い勘違いです。
条文に挙がっているのは土木一式・建築一式・解体工事業の3つだけで、とび・土工工事業(工事の種類でいう「とび・土工・コンクリート工事」)は書かれていません。 書かれていない以上、除外されません。
誤解が生まれた理由もはっきりしています。解体工事業は平成28年6月1日に新しくできた業種で、それまで解体工事はとび・土工工事業に含まれていました。 そのため、当時すでにとび・土工の許可を持っていた会社には平成31年(令和元年)5月31日までの経過措置がありました。
この経過措置は、もう終わっています。
熊本県のホームページには今もこの経過措置の説明が残っていますが、すでに過ぎた話です。 県は別のページで、はっきりこう書いています。
経過措置期間中に請け負った解体工事でも、経過措置終了後は「解体工事業」の許可を受けていないと解体工事は施工できません。無許可営業とみなされ、建設業法違反になります。
熊本県「解体工事業の建設業許可に係る経過措置が終了します」
いま、とび・土工の許可だけで解体工事を請けている会社がやるべきことは2つに1つです。解体工事業の登録を受けるか、解体工事業を業種追加するか。
無登録のまま解体工事業を営むと、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(建設リサイクル法第48条第1号)。
ただし例外が1つあります。ほかの工事に附帯する工事として解体を行う場合は、とび・土工の許可でも登録は要らないとされています(国土交通省「建設リサイクル法質疑応答集」)。「解体工事として単独で請け負う」形なら登録が必要です。見積書と契約書がどうなっているかで決まります(→次の判定表)。
建設業許可が1つもない会社は、金額が小さくても登録が要ります
逆の側の話もしておきます。
解体工事業の登録には、金額の条件がありません。 第21条第1項は「解体工事業を営もうとする者」と書いているだけで、いくら以上とは書いていません。解体工事業を営むこと自体にかかる義務です。
ですから、建設業許可を1つも持っていない会社は、500万円未満の解体工事しかやらないとしても登録が必要です。 「軽微な工事だから何も要らない」は成り立ちません。
そもそも「解体工事」に当たるのは、除却するための工事です
登録の対象になる「解体工事業」は、条文で「建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業」と定義されています(建設リサイクル法第2条第11項)。
- リフォームでも、壁や柱など構造耐力上主要な部分を取り壊すなら解体工事に当たります
- 構造耐力上主要な部分を壊さない修繕・模様替は、解体工事に当たりません
「内装解体」と呼ばれる工事は、どちらに転ぶかが現場によって違います。判断に迷うものは県に確認してください。
3つの質問で分かります
①どの許可を持っているか ②解体だけを単独で請けるのか ③請負代金はいくらか。この3つで決まります。
| 持っている建設業許可 | 解体工事の請け方 | 請負代金(税込) | どうなるか |
|---|---|---|---|
| 業種を問わず(許可あり) | 本体工事に附帯する解体 | — | 登録は不要(※下記の注) |
| 土木一式・建築一式 | 解体工事として単独で請ける | 500万円未満 | 施工できます。登録も不要(ただし工事経歴書の扱いに注意) |
| 土木一式・建築一式 | 解体工事として単独で請ける | 500万円以上 | 解体工事業の業種追加が必要 |
| 解体工事業 | 解体工事として単独で請ける | 問わない | そのまま施工できます |
| とび・土工など上の3業種以外 | 解体工事として単独で請ける | 500万円未満 | 解体工事業の登録が必要 |
| とび・土工など上の3業種以外 | 解体工事として単独で請ける | 500万円以上 | 解体工事業の許可が必要 |
| 許可なし | 解体工事として単独で請ける | 500万円未満 | 解体工事業の登録が必要 |
| 許可なし | 解体工事として単独で請ける | 500万円以上 | 解体工事業の許可が必要 |
※注(1行目について) 国土交通省の「建設リサイクル法質疑応答集」では、ほかの工事に附帯する工事として解体を行う場合は、解体工事業の登録は必要ないとされています。 ただし建設業法第26条の2第2項により、その解体部分が軽微な工事を超えるときは、解体工事の主任技術者になれる人を現場に置いて自社で施工するか、解体工事業の許可を持つ業者に施工させる必要があります。「附帯工事にあたるかどうか」は判断が分かれるところなので、迷ったら県に確認してください。
なお「解体」と名の付く工事が全部「解体工事業」になるわけではありません。熊本県は業種の区分をこう整理しています。
- 信号機のみを解体 ⇒ 電気工事
- 足場のみを撤去 ⇒ とび・土工工事
- 古いビルの解体と、同じ敷地に新しいビルを建てる工事を一体で請け負う ⇒ 建築一式工事
それぞれの専門工事で造ったものを、それだけ壊す工事は、その専門工事に当たるという考え方です。
「500万円未満」の正しい数え方
境界の話なので、ここは細かく書きます。500万円の数え方はこちらの記事で詳しく書いていますが、解体工事で効いてくるところだけ挙げます。
「500万円以下」ではなく「500万円未満」です
建設業法施行令第1条の2第1項の文言は「五百万円……に満たない工事」です。「満たない」=未満なので、ちょうど500万円の契約は許可が必要な側に落ちます。
税込で数えます
消費税を含めた金額です。 税抜490万円の契約は、消費税10%を足すと539万円になり、許可が必要になります。 見積書の税抜金額だけを見て「500万円未満だから大丈夫」と判断すると、そこで踏み外します。
契約を2本に分けても、足して数えます
同じ施行令第1条の2第2項に、2つ以上の契約に分割して請け負うときは合計額で判定すると書かれています(正当な理由に基づいて分割したときを除く)。「500万円を超えそうだから契約を2枚にする」は通りません。
施主から材料をもらう場合は、その分を足します
同条第3項です。注文者が材料を提供する場合は、その市場価格(と運送賃)を請負代金に加えた額で判定します。
解体と新築を一体で請けるなら、1,500万円です
上の業種区分のとおり、解体と新築を一体で請け負うと建築一式工事になります。建築一式の軽微な工事は1,500万円未満なので、線が変わります。熊本県のページにも書いてあります。
解体工事または解体工事を含む建設工事で、請負金額が500万円以上(建築一式工事に含まれる工事にあっては請負金額が1,500万円以上)の工事を行う場合は、建設業法に基づく建設業許可が必要となりますので、ご注意ください。
熊本県「解体工事業の登録について」
なお国土交通省の整理では、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を解体する工事」も建築一式工事に当たるとされています。「では家屋の解体は建築一式ではないのか」と思われるかもしれませんが、普通の1棟の家屋解体を建築一式として通そうとするのは無理があります。
今回の電話でも、県は「解体工事として請け負ったものはその他の建設工事」「500万円以上になるなら許可を取って業種追加を」という説明でした。実務では、解体だけを請けるなら500万円の線で考えてください。
県に確認しました|解体の売上は、決算変更届のどこに書くのか
ここからがこの記事の本題です。
「登録が要らない」と分かったあと、次に必ずぶつかるのがこれです。建築一式の許可で請けた解体工事の売上を、毎年の決算変更届でどこに書けばいいのか。 建築一式の工事経歴書に入れていいのか、それとも別扱いなのか。
2026年8月17日、熊本県庁の建設業担当に確認しました。 回答はこうでした。
- 解体工事として請け負ったものは、「その他の建設工事」として計上する
- 土木一式などの附帯工事として解体を行った場合は、その業種(土木一式)の側に計上してよい
つまり、同じ「解体」でも、どう請けたかで書く場所が変わります。
| どう請けたか | どこに計上するか |
|---|---|
| 土木一式・建築一式の附帯工事としての解体 | その業種(土木一式・建築一式)の側に計上してよい |
| 「解体工事」として単独で請け負ったもの | その他の建設工事として計上する |
様式で見ると、こうなります
口頭の回答だけだと迷うので、熊本県が公開している様式と記載要領で裏を取りました。
まず工事経歴書(様式第2号)に「その他の工事」という欄はありません。 記載要領の1項目めにこう書かれています。
この表は、法別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに作成すること。
熊本県 工事経歴書(様式第2号)記載要領
工事経歴書は、許可を受けている業種ごとに1枚ずつ作る様式です。 解体工事業の許可がなければ、解体工事業の工事経歴書はそもそも作りません。
では「その他の建設工事」はどこに書くのか。様式第3号「直前3年の各事業年度における工事施工金額」です。 こちらの記載要領にこう書かれています。
「許可に係る建設工事の施工金額」の欄は、許可に係る建設工事の種類ごとに区分して記載し、「その他の建設工事の施工金額」の欄は、許可を受けていない建設工事について記載すること。
熊本県 様式第3号 記載要領
解体工事業の許可を持っていない会社にとって、解体工事は「許可を受けていない建設工事」です。 だから県の言う「その他工事にあげる」は、実務ではこの欄に落ちます。県の回答と様式が、きれいに一致します。
つまり、どうなるのか(大事なところ)
「登録が要らない」ことの意味を、正確につかんでおいてください。
- 解体単独で請けた売上は、建築一式・土木一式の完成工事高には積み上がりません。 その他の建設工事に回るからです
- 経営事項審査でも、解体工事業の完成工事高にはなりません。 入札で解体を取りにいくなら、解体工事業の許可が要ります
- 500万円以上の解体を単独で請けることはできません。 一式の許可があっても、そこは変わりません
言いかえると、「登録は要らない」は「解体をやってもいい」であって、「解体工事業の実績として積み上がる」ではありません。 ここを混同したまま数年たつと、いざ業種追加をしようとしたときに困ります。
もう1つ、工事経歴書の書き方で気をつけること
記載要領の6項目めに、こう書かれています。
「注文者」及び「工事名」の記入に際しては、その内容により個人の氏名が特定されることのないよう十分に留意すること。
熊本県 工事経歴書(様式第2号)記載要領
解体工事は個人のお宅からの発注が多いので、ここが効いてきます。 「○○邸解体工事」と書くと施主が特定されてしまいます。「A邸解体工事」のように置き換えてください。
その他の建設工事として積んだ解体の経験は、あとで使えるのか
同じ電話で、もう1つ聞きました。「解体工事業を業種追加するとき、資格者がいなければ実務経験で証明することになる。その他の建設工事として計上してきた解体の経験は、その実務経験になるのか」
県からは「そうなります」という説明でした。
ただし、ここは言い切らずに書いておきます。実務経験は最終的に、提出する実務経験証明書と、それを裏づける資料で審査されます。 「その他の建設工事に計上していた」というだけで自動的に認められるわけではありません。
ですから、いま建築一式・土木一式の許可で解体工事を受けている会社は、あとで証明できる形で残しておいてください。
- 契約書・注文書・請書(工事名から解体工事だと分かるようにしておく)
- 請求書と入金の記録
- その工事に誰が付いていたか
数年たってから「あの工事は解体だったはずだが、書類が残っていない」となるのがいちばんもったいないところです。実務経験証明書の書き方はこちらの記事で書いています。
500万円以上の解体を請けたくなったら|解体工事業の業種追加
金額が上がってきたら、解体工事業を業種追加することになります。これも県に確認したとおりです。
必要になるのは営業所技術者(専任技術者)です。資格を持っている人がいるか、実務経験で証明するかのどちらかになります。営業所技術者になる条件はこちらにまとめています。
解体工事業でとくに注意していただきたい点が2つあります。
- とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなす経過措置は、令和3年6月30日で終わっています。 業者に対する経過措置(令和元年5月31日まで)とは別の話なので、期限も違います
- 平成27年度までの合格者である1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建築施工管理技士は、それだけでは解体工事業の技術者になれません。 解体工事に関する実務経験1年以上か、登録解体工事講習の受講が別に必要です
それから1つ、知っておくと安心なことがあります。いま解体工事業の登録を受けている会社が、解体工事業(または土木一式・建築一式)の許可を取ると、登録は自動的に効力を失います(建設リサイクル法第21条第5項)。許可と登録を二重に維持する必要はありません。
附帯工事として請けられる条件はこちらもあわせてご覧ください。
登録が必要な場合|熊本県での手続き
3業種の許可がなく、500万円未満の解体工事を請け負う場合の手続きです。
| 提出先 | 熊本県庁 土木部監理課 建設業班(熊本市中央区水前寺6丁目18番1号 行政棟本館11階/096-333-2485) 新規・更新・変更届・廃業等届のすべてがここです。地域振興局では受け付けていません |
| 手数料 | 新規 33,000円/更新 26,000円(熊本県収入証紙で納入) 変更・廃業等の届出に手数料はかかりません |
| 有効期間 | 5年。満了日の30日前までに更新申請が必要です。怠ると期間満了で効力を失います |
| 提出部数 | 2部(正本1部・副本1部) |
| おもな書類 | 登録申請書(様式第1号)、誓約書(様式第2号)、登録申請者の調書(様式第4号)、技術管理者が要件を満たすことを証する書面、技術管理者の常勤性が確認できる書類、商業登記簿謄本(法人・発行後3か月以内) |
| 変更・廃業 | 商号・名称・住所、営業所、法人の役員、技術管理者に変更があったときは30日以内に届出 |
技術管理者が必要です
登録には技術管理者(工事現場の施工の技術上の管理をする人)が要ります。なり方は5つの道があります。
- 学歴+実務経験…大学・高専で土木工学科等を卒業+実務2年、高校の同学科卒業+実務4年、実務経験のみなら8年
- 資格…1級・2級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木に限る)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築または躯体に限る)、1級・2級建築士、1級とび・とび工技能士(2級は合格後に解体工事の実務1年以上)、技術士(建設部門の第二次試験合格者)
- 国土交通大臣の登録講習を受けると、実務経験の年数が短くなります…大学・高専卒+1年、高校卒+3年、実務のみ7年
- 国土交通大臣登録試験(解体工事施工技士)の合格者
- 国土交通大臣が同等以上と認定した者
実務経験が8年に足りない場合でも、講習を受ければ7年に、高校の該当学科を出ていれば3年に短縮できます。 ここは見落とされがちです。
熊本県で最近変わったところ2つ
- 令和8年(2026年)4月1日以降の申請・届出から、技術管理者の免許資格等は写しで足ります(原本確認が不要になりました)
- 令和7年(2025年)12月2日から、健康保険証での常勤性確認は使えなくなりました。 社会保険関係書類、市県民税特別徴収税額通知書、賃金台帳(直近3か月)、出勤簿(直近3か月)、源泉徴収簿などで確認します
登録は「工事をする区域」ごとです
建設業許可と考え方が正反対なので、ここは特に気をつけてください。
| 建設業許可 | 解体工事業の登録 | |
|---|---|---|
| どこで決まるか | 営業所の所在地 | 工事をする区域 |
| 県外で工事できるか | 1つの許可で全国どこでも | その県の登録が別に必要 |
熊本県のページにも「他の都道府県で既に登録を受けている場合であっても、新たに熊本県内で解体工事業を営もうとする場合には、熊本県において手続きを行う必要があります」と書かれています。熊本で登録していても、福岡で解体するなら福岡県知事の登録が別に要ります。
実際、熊本県が公開している登録業者の一覧には、福岡県・鹿児島県・佐賀県・長崎県・宮崎県に事務所がある業者も載っています。九州で県をまたいで動く会社は、ここを確認しておいてください。
登録が要らない会社にも、残る義務があります
「登録が不要」で話が終わるわけではありません。 解体工事には、建設リサイクル法の登録とは別の義務がついてきます。しかも窓口がバラバラです。
| 何の手続きか | だれが | いつまで | どこへ(熊本市内の場合) |
|---|---|---|---|
| 解体工事業の登録 | 解体工事業者 | 営業を始める前 | 熊本県庁 土木部監理課 |
| 建設リサイクル法の届出 (建築物の解体は床面積80㎡以上) |
発注者または自主施工者 | 着手の7日前まで | 熊本市 建築指導課(土木・道路は技術管理課) |
| 石綿の事前調査(結果の報告) | 元請業者等 | 工事の前 | 熊本市 環境政策課 |
同じ1件の解体工事で、3つの窓口に分かれます。 県のホームページを読んだだけでは、届出と石綿の話は出てきません。
さらに、建設リサイクル法が解体工事の受注者に課している義務は、許可業者にもそのままかかります。 登録が要らないからといって外れるものではありません。
- 分別解体等の実施(第9条)
- 発注者への事前説明…契約前に、分別解体等の計画等を書面で説明する(第12条)
- 再資源化等の実施(第16条)
- 発注者への完了報告…再資源化等が完了したら書面で報告し、記録を保存する(第18条)
建設リサイクル法の届出は、義務者が「発注者」です
見落とされやすいところです。建設リサイクル法第10条の届出義務者は、受注した解体業者ではなく発注者(または自主施工者)です。 実務では業者が委任を受けて代わりに出すのが普通ですが、法律上の義務は発注者にあります。
対象になる規模はこうです。
- 建築物の解体…床面積の合計 80㎡以上
- 建築物の新築・増築…床面積の合計 500㎡以上
- 建築物の修繕・模様替(リフォーム等)…請負代金 1億円以上
- 建築物以外(土木工作物など)の解体・新築等…請負代金 500万円以上
届出先は熊本市・八代市・天草市は各市役所、それ以外の市町村は県の広域本部・地域振興局です。建築関連と土木関連で担当課も分かれます。
石綿の事前調査は、規模に関係なく全部の解体工事で必要です
調査そのものは、工事の大小にかかわらず必要です。 そのうえで、一定規模以上のものは調査結果の報告が要ります(建築物の解体は延べ床面積80㎡以上、改修は請負代金税込100万円以上)。
調査は有資格者が行う必要があり、建築物は令和5年10月1日から、工作物は令和8年(2026年)1月1日から義務になりました。工作物のほうは始まったばかりです。
そのほか、熊本市内で解体するときに出てくるもの
- 建築基準法第15条の届出…床面積の合計が10㎡を超える解体で必要です。建設リサイクル法の80㎡より低いので、小さい建物でもこちらは要ります
- 固定資産税の解家届(各区役所の税務課)
- 解体工事業の登録を受けた業者は、工事現場の見やすい場所に標識の掲示が必要です(建設リサイクル法第33条)。建設業許可業者の標識とは別のものです
よくある間違い5つ
- 「とび・土工があるから登録は要らない」…経過措置は平成31年(令和元年)5月31日で終わっています
- 「500万円以下ならいい」…「未満」です。ちょうど500万円は許可が必要な側です
- 「税抜490万円だから大丈夫」…税込539万円になり、許可が必要です
- 「熊本で登録したから福岡でもできる」…登録は工事をする県ごとです
- 「県の登録業者一覧に載っていないから、無登録業者だ」…違います。建設業許可(土木・建築・解体)を持っている業者は、この一覧に載りません。 県自身が「登録があることの証明にはなりません」と注記しています
よくある質問
建築一式の許可があれば、解体工事業の登録は要りませんか
要りません。建設リサイクル法第21条第1項で、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を受けている方は登録の対象から除かれています。 一般・特定の別、知事許可・大臣許可の別は問いません。ただし解体工事だけを単独で請け負う場合、請負代金が税込500万円以上になると解体工事業の許可(業種追加)が必要です。
とび・土工工事業の許可でも不要になりますか
なりません。条文に挙がっているのは土木一式・建築一式・解体工事業の3業種だけです。平成28年6月1日から平成31年(令和元年)5月31日までは、とび・土工の許可で解体工事を施工できる経過措置がありましたが、すでに終わっています。 いまは解体工事業の登録を受けるか、解体工事業を業種追加するかのどちらかになります。ただし、ほかの工事に附帯する工事として解体を行う場合は、登録は要らないとされています(国土交通省「建設リサイクル法質疑応答集」)。無登録で解体工事業を営むと、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
500万円未満なら、誰でも解体工事を請け負えますか
いいえ。解体工事業の登録には金額の条件がありません。 建設業許可を1つも持っていない場合は、500万円未満の解体工事しかしないとしても登録が必要です。逆に、土木一式・建築一式・解体工事業のいずれかの許可があれば、500万円未満の解体工事に登録は要りません。
建築一式の許可で請けた解体工事は、工事経歴書のどこに書きますか
熊本県に確認したところ、解体工事として請け負ったものは「その他の建設工事」として計上し、建築一式の工事経歴書には入れない扱いでした。土木一式などの附帯工事として解体を行った場合は、その業種の側に計上して差し支えないとのことです。工事経歴書(様式第2号)は許可業種ごとに作る様式で「その他の工事」の欄はなく、その他の建設工事の施工金額を書く欄は様式第3号「直前3年の各事業年度における工事施工金額」にあります。
熊本県で解体工事業の登録をするには、どこに、いくらかかりますか
提出先は熊本県庁 土木部監理課 建設業班(熊本市中央区水前寺6丁目18番1号 行政棟本館11階)です。新規・更新・変更届・廃業等届のすべてがこの窓口で、地域振興局では受け付けていません。手数料は新規33,000円・更新26,000円で、熊本県収入証紙で納めます。有効期間は5年、満了日の30日前までに更新申請が必要です。登録は工事をする区域ごとに必要なので、福岡県などでも解体するなら、その県の登録が別に要ります。
熊本県での話です。県によって運用が違います
法律の部分(建設リサイクル法第21条の3業種、建設業法施行令の500万円・1,500万円、経過措置の期限、建設リサイクル法の届出の規模)は全国共通です。
一方で、申請の窓口、手数料の額、更新申請の受付期間、提出書類、届出先の市町村の分かれ方は都道府県ごとに違います。 この記事に書いた手数料や「満了日の30日前まで」は熊本県の取扱いです。
また、工事経歴書と様式第3号の書き方について県から受けた回答も、熊本県での取扱いです。 熊本県以外で申請される方は、必ず申請先の都道府県にご確認ください。
ご相談ください
当事務所は熊本市東区尾ノ上にある建設業許可専門の行政書士法人です。
- 「うちの許可で解体を受けていいのか」「登録と業種追加のどちらがいいか」を、契約書と見積書を見ながら一緒に判断します
- 解体工事業の登録、建設業許可の業種追加、どちらもお受けします
- 毎年の決算変更届で、解体工事の売上をどこに計上するかもあわせて整理します
- 電子申請(JCIP)にも対応しています(代理申請にはお客様と当所の両方に gBizIDプライムが必要です)
解体の売上が立ち始めたら、早めに一度ご確認ください。 気づかないまま数年たってしまうと、いざ業種追加をするときに実務経験の証明でつまずきます。
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出典
- 熊本県土木部監理課建設業班への電話確認(2026年8月17日)…工事経歴書・その他の建設工事への計上、実務経験の取扱いについて
- 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第2条・第9条・第10条・第12条・第16条・第18条・第21条・第31条・第33条・第48条、同施行令第2条
- 建設業法第3条第1項・第4条・第26条の2、建設業法施行令第1条の2
- 国土交通省「建設リサイクル法質疑応答集」(附帯工事として行う解体工事の登録の要否)
- 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」(業種区分の考え方、請負代金の額は消費税を含むこと)
- 熊本県「解体工事業の登録について」
- 熊本県「解体工事業の建設業許可に係る経過措置が終了します」
- 熊本県「建設業許可の申請書等について」…工事経歴書(様式第2号)記載要領、様式第3号記載要領
- 熊本県「建設リサイクル法の届出等について」
- 熊本市「建設リサイクル法に関する届出について」
- 熊本県「石綿事前調査結果の報告について」
- 国土交通省「解体工事の追加に伴う経過措置について」「とび・土工工事業の技術者を解体工事業の技術者とみなすこととする経過措置期間の延長について」

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