破砕機や選別機を新しく置くとき、一定の規模を超えると、廃棄物処理法の設置許可が要ります。業の許可(収集運搬業・処分業)とは別の手続で、設備そのものを置いてよいかを県が審査します。申請書のほかに、決算書や生活環境影響調査の結果など、用意するものが多い手続です。この記事では、熊本県内に処理施設を置くときに求められる書類・調査と、かかる期間の目安をまとめます。
この記事のポイント
- 許可が要るかどうかは施設の種類と1日あたりの処理能力で決まります
- 申請書には設置と維持管理の計画を書き、決算書3期分・定款・住民票などを添付します
- 生活環境影響調査(いわゆるミニアセス)の結果を必ず添えます。調べる項目は施設と周りの状況で選びます
- 熊本県の申請手数料は、焼却施設・最終処分場以外の設置許可で、一般廃棄物の施設110,000円、産業廃棄物の施設120,000円です
- 許可が出ても、使用前検査に合格するまでは使えません
許可が要る施設かどうかは処理能力で決まります

設置許可が要るのは、政令で決められた種類と規模の施設です。一般廃棄物と産業廃棄物で決まりが分かれていて、同じ破砕機でも基準の言い方が違います。
| 施設 | 許可が要る規模 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物のごみ処理施設(焼却施設以外) | 1日あたり5トン以上 | 施行令5条1項 |
| 一般廃棄物の焼却施設 | 1時間あたり200キログラム以上、または火格子面積2平方メートル以上 | 施行令5条1項 |
| 産業廃棄物の木くず・がれき類の破砕施設 | 1日あたり5トンを超えるもの | 施行令7条8号の2 |
| 産業廃棄物の廃プラスチック類の破砕施設 | 1日あたり5トンを超えるもの | 施行令7条7号 |
一般廃棄物は「5トン以上」、産業廃棄物は「5トンを超える」です。ちょうど5トンの施設は、一般廃棄物では許可の対象、産業廃棄物では対象外になります。処理能力はメーカーの資料をもとに1日あたりで計算し、その計算書も申請に添えます。
申請書に書く計画と、添付する書類

申請書には、施設の種類・処理する廃棄物の種類・処理能力に加えて、設置に関する計画と維持管理に関する計画を書きます(法8条2項、法15条2項)。設置の計画には、施設の位置、処理方式、構造と設備、排ガスと排水の量と処理方法などを書きます(施行規則3条1項、産業廃棄物処理施設は11条2項)。
添付する主な書類は次のとおりです(一般廃棄物処理施設は施行規則3条5項、産業廃棄物処理施設は施行規則11条6項)。
- 施設の構造を明らかにする設計計算書と、処理工程図・付近の見取図
- 設置と維持管理に関する技術的能力を説明する書類
- 設置と維持管理にかかる資金の総額と、その調達方法を書いた書類
- 法人は直前3年の各事業年度の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表と、法人税の納税を証する書類
- 定款と登記事項証明書、役員などの住民票の写し(本籍の記載のあるもの)、欠格要件に当たらない旨の誓約書
- 生活環境影響調査の結果を書いた書類
熊本県の添付書類のチェック表では、技術的能力の書類として、維持管理の基準への対応表や、技術管理者の資格を証明する書類が挙がっています。法務局・税務署・市町村などが発行する書類は、発行から3か月以内のものに限られます。決算書の一式に個別注記表が付いていないことがよくあるので、当法人では最初に3期分がそろっているかを確かめます。
生活環境影響調査(ミニアセス)で調べること

施設を置くことで周りの生活環境にどんな影響が出るかを、あらかじめ調べた結果を申請に添えます(法8条3項、法15条3項)。調査書には、調べた項目と現況、影響の予測とその方法、分析の結果を書き、調べなかった項目はその理由も書きます(施行規則3条の2)。
環境省の調査指針では、破砕・選別施設で標準的に選ぶ項目を次のように示しています。
| 何から | 調べる項目 |
|---|---|
| 施設の稼働 | 粉じん、騒音、振動 |
| 廃棄物を運ぶ車両 | 二酸化窒素、浮遊粒子状物質、騒音、振動 |
| 施設からの悪臭の漏れ | 悪臭 |
| 施設の排水 | 水質 |
すべての項目が必ず要るわけではありません。粉じんや騒音は、影響が及ぶ周りに人家などがある場合に対象とし、排水を公共用水域に出さない施設なら水質は除けると指針は書いています。当法人では、配置図と周りの地図を見て、どの項目を調べ、どれを理由を付けて外すかを決めてから調査に入ります。
破砕施設に求められる設備(技術上の基準)

県は、設置の計画が技術上の基準に合っているかを審査します(法8条の2第1項1号)。一般廃棄物のごみ処理施設に共通する基準として、荷重や地震力に対して構造上安全であること、ごみの飛散や悪臭を防ぐ構造であること、著しい騒音・振動を出さないこと、汚水が漏れ出したり地下に浸み込んだりしない構造であることが求められます(施行規則4条1項1号から6号)。
一般廃棄物の破砕施設には、さらに次の3つが求められます(施行規則4条1項11号)。産業廃棄物処理施設の技術上の基準は、施設の種類ごとに施行規則12条・12条の2で別に決められています。
- 投入する廃棄物に、破砕に適さないものが含まれていないかを連続して監視する措置
- 破砕で出る粉じんの飛散を防ぐ集じん器や散水装置
- 爆発による被害を防ぐ防爆設備や爆風の逃がし口
申請書では、これらをどの設備で満たすかを、カタログや配置図と合わせて説明します。
審査で裏づけを求められやすい3つの所(仕様書・騒音と振動・構造)

申請書の審査で裏づけを求められやすいのは、メーカーの仕様書、騒音と振動の対策、構造の3つです。一般廃棄物処理施設でも産業廃棄物処理施設でも同じで、どれも「設置の計画が技術上の基準に合っているか」「周りの生活環境に配慮しているか」という許可の要件(法8条の2第1項1号・2号、法15条の2第1項1号・2号)を、書類で示す部分だからです。
メーカーの仕様書:処理能力と騒音の予測の元になります
処理能力は申請書に必ず書く事項で(法8条2項5号、法15条2項5号)、許可が要るかどうかの線引きにも使われます。許可のあとも、施設への投入は処理能力を超えないように行うことが維持管理の基準になっています(施行規則4条の5第1項1号、12条の6第2号)。熊本県の添付書類のチェック表では、施設の構造を明らかにする設計計算書に、配置図・カタログと、1日あたりの処理能力を計算した書類を付けることになっています。
仕様書の数字は、生活環境影響調査にも使われます。環境省の調査指針は、騒音の予測の条件として、設備機器の種類・数・パワーレベル・配置を挙げています。当法人では、仕様書の処理能力と稼働時間から1日あたりの能力を計算し、申請書・設計計算書・調査書の数字が同じになるようにそろえてから出します。
騒音と振動:基準に合わせた対策を、図面で示します
技術上の基準は、施設が著しい騒音と振動を出して周りの生活環境を損なわないことを求めています(一般廃棄物の施設は施行規則4条1項5号、産業廃棄物の施設は12条5号)。使い始めたあとも、騒音と振動で周りの生活環境を損なわないように必要な措置を講じることが、維持管理の基準です(施行規則4条の5第1項12号、12条の6第7号)。
調査指針では、予測した騒音を、環境基準や騒音規制法・条例の規制基準と比べ、対策を「機器ごとの防音」「機器の配置や遮音壁」「敷地境界での測定などの監視」に分けて整理するとしています。熊本県の産業廃棄物の施設の構造基準は、さらに具体的で、破砕機は騒音を防ぐために建屋の中に置く(がれき類やコンクリートくずなどの破砕施設を除く)、設置場所の基準に合わせられる防音・防振の設備を設ける、近くに住家があるときは周りの囲いを遮音構造の防音壁にする、騒音と振動を測れる体制を持つ、と定めています。
構造:基準の1項目ずつに、どの設備で応えるかを書きます
産業廃棄物の施設にも、構造耐力上の安全、腐食の防止、飛散と悪臭の防止という一般廃棄物の施設と同じ項目があり(施行規則12条1号・3号・4号)、さらに受入れと貯留の設備が処理能力に見合った容量であることが求められます(12条7号)。
熊本県の産業廃棄物の施設の構造基準では、破砕機を鉄筋コンクリートの床か同等の強度の架台に固定すること、受入れ・保管の設備をコンクリート製などの仕切りで囲い、床を水密コンクリートにすること(がれき類などには例外があります)、施設の周りに原則として高さ1.8メートル以上の鋼製のフェンスを設けることなどが決められています。熊本県のチェック表では、産業廃棄物の施設は、県の指導要綱の構造基準・立地基準・維持管理基準への対応表も付けます。当法人では、基準の1項目ずつに「どの設備で、図面のどこで満たすか」を書いた対応表を作り、仕様書・配置図・構造図と番号でつないでおきます。
提出先と手数料(熊本県)

申請書は、施設を置く場所を管轄する県の保健所に出します。熊本市内に置く施設は熊本市の担当課が窓口で、県とは別です。産業廃棄物処理施設は、熊本県産業廃棄物指導要綱などにもとづく事前協議を終えてから申請するのが熊本県の手順です(事前協議が要らない場合を除く)。
| 手続 | 一般廃棄物処理施設 | 産業廃棄物処理施設 |
|---|---|---|
| 設置許可(焼却施設・最終処分場) | 130,000円 | 140,000円 |
| 設置許可(それ以外) | 110,000円 | 120,000円 |
| 変更許可(焼却施設・最終処分場) | 120,000円 | 130,000円 |
| 変更許可(それ以外) | 100,000円 | 110,000円 |
熊本県の産業廃棄物処理業の許可申請では、手数料は熊本県収入証紙を申請書に貼って納めます。証紙の販売は続いていて、県庁の売店では郵送での販売もしています。施設の設置許可の納め方は、申請の時点の県の案内に合わせて準備します。
期間の目安と、許可のあとの使用前検査

熊本県は、産業廃棄物処理施設の審査と許可に、30日程度(最終処分場・焼却施設などは90日程度)かかると示しています。この日数には、土日祝日と、補正を頼まれてから直すまでの期間は入りません。一般廃棄物処理施設の県のページには、期間の記載がありません。
焼却施設や最終処分場などは、申請書と調査書が1か月間公衆の縦覧に供され、住民の意見書や市町村長・専門家の意見を聴く手続が加わります(法8条4項から6項、法8条の2第3項、法15条4項から6項、施行令5条の2・7条の2)。木くず・がれき類や廃プラスチック類の破砕施設にはこの手続が無いので、そのぶん短く済みます。
許可が出たら施設を据え付け、県の使用前検査を受けます。計画どおりだと認められるまでは使えません(法8条の2第5項、法15条の2第5項)。使い始めたい日から逆算して、調査・申請・補正・検査の日程を組むことが大切です。
よくある質問
生活環境影響調査は、専門の業者に頼まないとできませんか?
法律に「誰が調べるか」の決まりはありません。ただ、騒音・振動・粉じんの現況を測る機器と予測の手法が要るので、測定の部分は専門の業者に頼むのが一般的です。当法人では、どの項目を調べるかを先に決め、見積を取りやすい形で依頼の範囲を整理します。
いまの許可と同じ施設を、同じ場所で入れ替えるだけでも調査は要りますか?
申請書の設置場所・種類・処理する廃棄物・処理能力・設置と維持管理の計画が、過去の許可と同じであれば、調査の結果は添えなくてよいとされています(一般廃棄物処理施設は法8条3項ただし書と施行規則3条の3、産業廃棄物処理施設は法15条3項ただし書)。一つでも違えば必要です。
決算が赤字だと許可は受けられませんか?
赤字だけで決まるわけではありません。県は、申請者の能力が設置と維持管理を的確に、かつ継続して行うに足りるかを審査します(法8条の2第1項3号)。資金の調達方法の書類と合わせて、続けられる根拠を説明します。
移動式の破砕機も対象ですか?
処理能力が基準以上であれば対象です。熊本県のチェック表にも、移動式の処理施設についての欄があります。
出典・参考
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(e-Gov法令検索)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 環境省「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針について」(平成18年9月)
- 熊本県「一般廃棄物処理施設設置許可申請等について」
- 熊本県「産業廃棄物処理施設設置許可申請等について」
- 熊本県「熊本県産業廃棄物指導要綱等について」(産業廃棄物の施設の構造に関する基準・立地に関する基準ほか)
- 熊本県「熊本県収入証紙の売りさばき所について」
まとめ
処理施設の設置許可は、処理能力で対象かどうかが決まり、設置と維持管理の計画、3期分の決算書、生活環境影響調査の結果などをそろえて申請します。破砕施設は縦覧の手続が無いぶん短く済みますが、調査と補正、使用前検査の期間を見込んでおく必要があります。調べる項目と添付書類を最初に整理しておくことが、いちばんの近道です。
ご相談はノーサイド行政書士法人へ
ノーサイド行政書士法人は、熊本の建設業許可・経営事項審査・入札参加資格申請を支援している行政書士法人です。産業廃棄物の収集運搬業の許可や、処理施設の設置許可の申請もお受けしています。施設の計画が固まる前の段階から、ご相談ください。


コメント