設立したばかりでも経審・入札参加資格は受けられる?熊本県・熊本市の扱い

設立したばかりでも経審・入札参加資格は受けられる?熊本県・熊本市の扱い 経審・公共工事

会社を立ち上げて建設業許可を取ったら、次は公共工事の入札に参加したい、という相談は少なくありません。ただ、設立したばかりの会社には決算の実績がなく、工事の実績もまだ少ないのが普通です。この記事では、そうした会社が経営事項審査(経審)をいつ・どう受けられるのか、入札参加資格の申請で何に気をつければよいのかを、熊本県の「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」と、熊本県・熊本市の要領にそって説明します。

この記事のポイント

  • 設立したばかりの会社も経審は受けられます。最初の決算を待たずに受ける「新設経審」では、会社の設立日が審査基準日になります
  • 最初の決算のあとに受ける場合は、それより前の期の完成工事高を「0」として平均を出すので、完成工事高の点数は低く出ます
  • 熊本県の入札参加資格は、経審で完成工事高に実績が無い業種は受け付けません。完成工事高が0になる新設経審の結果だけでは申請できないので、最初の決算で実績を出してから経審を受ける順番が大事です
  • 熊本市も、令和8年度の基準では、格付をする業種で完成工事高が0円の会社は登録の対象外で、新しく登録する会社はいちばん下のランクからです

決算を待たずに受ける「新設経審」

設立したばかりの会社が決算前に受ける新設経審の3つの特徴
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」

経審の審査基準日は、ふつうは申請の直前の決算日です。ただし熊本県の手引きでは、新しく設立した会社などは、事業年度の終了を待たずに審査を受けられるとしています。これを一般に「新設経審」と呼びます。

新設経審では、審査基準日は法人なら会社の設立日、個人なら開業した日です。営業年数は「0」として申請します。財務諸表は、経審用と、登録経営状況分析機関に出す経営状況分析用の2部を作ります。そのほかの提出書類は、通常の経審と同じです。

経審の結果で公共工事を請け負えるのは、審査基準日から1年7か月の間です。新設経審は設立日が審査基準日なので、その期間も設立日から数えます。最初の決算のあとは、決算ごとに経審を受けて、切れ目がないようにつないでいきます。

最初の決算のあとに受ける場合

新設会社が最初の決算後に経審を受けるときの完成工事高の書き方
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」新規設立会社の経営事項審査上の取扱いについて

最初の決算を迎えてから経審を受ける場合は、審査基準日はその決算日です。営業年数は、この場合も「0」で申請します。

完成工事高の欄の書き方が、ふつうの会社と違います。手引きでは、審査の対象になる期(設立日から最初の決算日まで)の実績を書き、それより前の期の欄には「0」を書くとしています。設立前の期間はそもそも会社が無いので、実績が0として扱われるということです。

なお、個人で営業していた人が法人を作ってから許可を取った場合、個人のときの実績は法人の完成工事高として認められません。個人で建設業許可を持っていた場合の法人成りは、別の扱いになります。

完成工事高の平均は、1期目だけだと低く出る

設立1期目の実績で完成工事高の2年平均と3年平均を出したときの違い
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」

経審の完成工事高の点数(X1)は、直前2年の平均か直前3年の平均のどちらかで計算します。どちらを選ぶかは申請のたびに選べ、前回と違ってもかまいません。ただし、業種ごとに別の方法を選ぶことはできず、すべての業種で同じ方法にそろえます。

設立1期目の会社は、前の期が「0」なので、どちらを選んでも平均は実績より小さくなります。

平均の取り方計算1期目の実績に対して
2年平均(1期目+0)÷2およそ半分
3年平均(1期目+0+0)÷3およそ3分の1

2期目、3期目と実績が積み上がるにつれて、平均は実際の売上の規模に近づきます。年によって売上の波があるときは、2年平均と3年平均のどちらが有利かを決算ごとに比べて選びます。

入札参加資格は、完成工事高の実績が条件になることが多い

設立直後の会社が熊本県と熊本市の入札参加資格を申請するときの条件の違い
出典:熊本県 令和9・10年度入札参加者資格審査申請要領、熊本市 資格審査の基本的方針及び基準(令和8年度)

経審を受けられても、入札参加資格(指名願)の申請が受け付けられるかは、発注する役所ごとの要領で決まります。設立直後の会社が特に気をつけたいのは、完成工事高の実績を求められることです。

発注者設立直後の会社にかかわる決まり
熊本県(令和9・10年度)経審で総合評定値を請求していない業種と、「完成工事高」に実績が無い業種は申請を受け付けない
熊本市(令和8年度の基準)格付をする7業種は、完成工事高が0円なら登録の対象としない。新しく登録する会社は、各業種のいちばん下のランク

熊本県の要領は、経審そのものとは別に、完成工事高に実績が無い業種の申請を受け付けないとしています。新設経審は設立日が審査基準日なので、どの業種も完成工事高は0になり、その結果だけでは熊本県の指名願は受け付けられません。ただし、これは設立したばかりの会社を一律に断る決まりではなく、業種ごとの決まりです。最初の決算で完成工事高の実績が出た業種は、決算後の経審で申請の対象になります。最初の決算で工事の実績を出してから経審を受ける、という順番を考える必要があります。

熊本市の令和9年度からの建設工事の申請要領は、令和8年10月末ごろに公表される予定です。新しい要領で基準が変わることもあるので、申請の前に熊本市の要領を確かめます。県内のほかの市町村も、要領ごとに条件が違います。

設立直後の会社が動く順番

設立直後の会社が建設業許可から入札参加資格までを進める順番

設立から入札参加までは、次の順番で考えると無理がありません。

  1. 建設業許可を取る(新設法人の許可の進め方は、下の関連記事を見てください)
  2. 最初の決算で、受けたい業種の工事の実績を契約書類つきで残しておく
  3. 決算のあと、決算変更届(事業年度終了届)を出してから経審を受ける
  4. 入札に参加したい役所の定期受付に合わせて、入札参加資格を申請する

入札参加資格の受付は、役所ごとに時期が決まっています。熊本県の令和9・10年度の受付は令和8年12月18日まで、熊本市の令和9・10・11年度の建設工事の受付は令和8年11月2日から令和9年1月29日までの予定です。熊本市は、この受付期間のほかに随時の申請は受け付けないとしています。経審の結果が出るまでの日数も考えて、決算日から逆算して予定を組みます。

よくある質問

設立したばかりの会社の経審についてのよくある質問

経審の点数が低くても、入札に参加できますか

点数が低くても、入札参加資格の条件を満たしていれば申請はできます。ただし、熊本県のように完成工事高の実績が無い業種は受け付けない役所もあり、熊本市のように新しく登録する会社をいちばん下のランクから始める役所もあります。最初は小さな工事から実績を積むことになります。

新設経審を受けるメリットはありますか

国や自治体などが発注する1件500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を元請で請け負うには、経審を受けていることが必要です(建設業法27条の23、施行令45条)。新設経審なら、最初の決算を待たずに経審の結果を持てます。一方で、完成工事高は0になるので、熊本県のように完成工事高の実績を求める役所の入札参加資格には使えません。そのため、どの役所の入札に入りたいかで受ける時期を決めます。

2年平均と3年平均は、毎年選び直せますか

選び直せます。熊本県の手引きでは、前回の申請と違う選択でもかまわないとしています。ただし、すべての業種で同じ方法にそろえます。

出典・参考

まとめ

  • 設立したばかりの会社も経審は受けられます。決算前の新設経審は、設立日が審査基準日です
  • 最初の決算後に受けるときは、前の期の完成工事高を0として平均するので、完成工事高の点数は低く出ます
  • 2年平均か3年平均かは申請のたびに選べますが、すべての業種で同じ方法にします
  • 熊本県の指名願は、完成工事高に実績が無い業種を受け付けません。熊本市も格付の業種で完成工事高0円は登録の対象外です
  • 入りたい役所の受付時期から逆算して、決算・決算変更届・経審の順番を組みます

設立直後の経審・入札参加資格のご相談

ノーサイド行政書士法人は、熊本の建設業許可・経営事項審査・入札参加資格申請を支援している行政書士法人です。新しく設立した会社の許可から、最初の決算後の経審、熊本県・熊本市などの入札参加資格まで、決算日から逆算した予定を組んでお手伝いしています。

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