熊本で産業廃棄物の処分業の許可は、事業譲渡や会社の買収で引き継げる?

熊本で産業廃棄物の処分業の許可は、事業譲渡や会社の買収で引き継げる? 許可の取得

産業廃棄物の処分場を持つ会社から事業を引き継ぎたい、あるいは処分業の許可を持つ会社を買いたいという相談では、最初に「許可も一緒に移るのか」が問題になります。建設業許可は、事前に認可を受ければ事業譲渡や合併で引き継げるようになりました。ところが、産業廃棄物の処分業の許可には同じしくみがありません。一方で、破砕機などの処理施設の設置許可は、県の許可や認可を受ければ引き継げます。この記事では、事業譲渡・合併・会社分割・株式の買収のそれぞれで、何が引き継げて何を取り直すのかを整理します。

この記事のポイント

  • 産業廃棄物の処分業・収集運搬業の許可には、譲渡・合併・分割・相続で引き継ぐ規定がありません
  • 事業譲渡で事業を受け取る会社は、自分で処分業の許可を取ることになります
  • 処理施設の設置許可は、譲受けなら県の許可、合併・分割なら県の認可を受けて引き継げます(熊本県の手数料はどちらも70,000円)
  • 株式を買う場合は会社がそのままなので、許可は取り直しません。ただし、会社の過去の違反や処分の記録も引き継ぎ、役員・株主の変更届と欠格要件の確認が要ります
  • 補助金で買った機械は、承認を受けずに売ったり貸したりできません

業の許可には、引き継ぐ決まりがありません

建設業許可と産業廃棄物の業の許可で、事業譲渡や合併のときに許可を引き継げるかを比べた図
出典:建設業法17条の2・17条の3、廃棄物処理法14条

産業廃棄物の処分を業として行うには、その区域を管轄する都道府県知事の許可が要ります(廃棄物処理法14条6項)。許可は、事業に使う施設と申請者の能力が基準に合い、申請者が欠格要件に当たらないときに出ます(同条10項)。つまり、許可は「この会社が、この施設で処分を行う」ことに対して出ています。

建設業法には、事業譲渡・合併・会社分割について事前に認可を受ければ、引き継ぐ側が建設業者の地位を承継する規定があります(建設業法17条の2)。相続も、死亡後30日以内に認可を申請し、認可を受ければ引き継げます(同法17条の3)。廃棄物処理法には、処分業・収集運搬業の許可について、このような承継の規定がありません。処理施設の設置許可には承継の規定があるのと対照的です(次の見出しで説明します)。

そのため、許可を持たない会社が処分の事業を受け取るときは、その会社が新しく処分業の許可を受ける必要があります。熊本県の手数料は、産業廃棄物処分業の新規許可申請で100,000円です。なお、処分を行う場所が熊本市内なら、処分業の許可もその後の変更届も、熊本県知事ではなく熊本市長の担当です(同法24条の2、同法施行令27条1項)。売り手の許可のまま買い手が営業を続けることは、名義貸しとして禁止されています(同法14条の3の3)。

事業譲渡・合併・分割・株式の買収で何が違うか

株式の買収・合併・会社分割・事業譲渡のそれぞれで、業の許可と処理施設の設置許可がどうなるかの表
出典:廃棄物処理法9条の5・9条の6・14条・15条の4

同じ「会社を引き継ぐ」でも、法律上の形によって結果が変わります。

引き継ぎ方処分業の許可処理施設の設置許可
株式の買収(会社はそのまま)そのままそのまま
許可を持つ会社が、持たない会社を吸収合併そのままそのまま(認可は不要)
許可を持つ会社が合併で消える/会社分割で事業を移す引き継ぐ会社が新しく取る県の認可を受けて承継
事業譲渡(施設を別の会社が譲り受ける)譲り受ける会社が新しく取る県の許可を受けて承継

ポイントは、許可を持っている法人格が残るかどうかです。株式の買収や、許可を持つ会社が存続する合併では、許可を受けた会社そのものが変わらないので、取り直しになりません。反対に、事業譲渡・会社分割・許可を持つ会社が消える合併では、事業を受け取る会社に処分業の許可が無いので、新しく取ることになります。許可を持つ会社が存続する合併でも、相手の会社も施設の許可を持っていて、その施設を引き継ぐときは、合併について県の認可が要ります(廃棄物処理法9条の6第1項)。認可が要らないのは、施設の許可を持つ会社が、持たない会社を吸収する場合だけです。

処理施設の設置許可は、県の許可・認可で引き継げます

処理施設の設置許可を引き継ぐ3つの手続と熊本県の手数料
出典:廃棄物処理法9条の5〜9条の7・15条の4、熊本県「産業廃棄物処理施設設置許可申請等について」

一定の規模を超える破砕施設などの産業廃棄物処理施設は、業の許可とは別に、施設の設置許可を受けています(廃棄物処理法15条)。この施設の許可には、引き継ぐための手続が3つ用意されています(同法15条の4が9条の5〜9条の7を準用)。

  1. 譲受け・借受け:施設を譲り受ける(借り受ける)人が、県知事の許可を受けます。許可を受けて譲り受けた人は、設置者の地位を承継します(9条の5)
  2. 合併・分割:合併や分割について県知事の認可を受けたとき、存続する法人・新しくできる法人・施設を承継する法人が、設置者の地位を承継します(9条の6)
  3. 相続:相続人が地位を承継し、相続の日から30日以内に県知事へ届け出ます(9条の7)

譲受けの許可と合併・分割の認可で審査されるのは、引き継ぐ人の能力と欠格要件です(9条の5第2項・9条の6第2項が15条の2第1項3号・4号を準用)。施設を一から作るときのように、生活環境影響調査の結果を付けて施設の技術上の基準から審査し直す手続とは違います。譲受けの申請では、譲り受ける人の役員や、発行済株式の100分の5以上を持つ株主を申請書に書き、直前3年の決算書などを添付します(施行規則12条の11の12)。合併・分割の認可の申請には、合併契約書・分割契約書の写しなどを添付します(同規則12条の11の13)。

熊本県の手数料は、産業廃棄物処理施設の譲受け等の許可申請が70,000円、合併・分割の認可申請が70,000円です。熊本県の添付書類のチェック表では、譲受けでも、県の指導要綱の構造基準・維持管理基準・立地基準への対応表を付けることになっています。熊本市内の施設は熊本市が窓口です。

株式を買う場合は許可はそのまま。ただし届出と欠格の確認を

処分業の許可を持つ会社の株式を買うときに確かめる3つのこと
出典:廃棄物処理法14条・14条の3の2・15条の3、施行規則10条の10

会社の株式を買って経営を引き継ぐ形なら、許可を受けた会社は同じです。処分業の許可も、処理施設の設置許可も、そのまま使えます。許可を取り直す必要はありませんが、会社に残っている過去の違反や処分の記録も、そのまま引き継ぐことになります。

ただし、許可を受けた会社は、役員や、発行済株式の100分の5以上を持つ株主が変わったときに、県へ届け出る必要があります(法14条の2第3項、施行規則10条の10)。期限は、役員の変更は登記事項証明書を付けるので変更の日から30日以内、株主の変更は10日以内です(株主が法人で、その登記事項証明書を付けるときは30日以内)。買収で役員を入れ替えたり、新しい株主が大株主になったりすれば、この届出が要ります。

もう一つ大事なのが欠格要件です。法人の役員(取締役などのほか、それと同等以上の支配力を持つと認められる人を含みます)の中に欠格要件に当たる人がいると、処分業の許可は取り消さなければならないとされています(法14条5項2号ニ、14条の3の2第1項4号)。処理施設の設置許可も同じです(法15条の3第1項1号)。買収のあとに誰を役員に入れるかは、許可を守るための大事な確認事項です。

新しく作る場合、いちばんの壁は場所です

処理施設を新しく作るときに場所で確かめる、建築基準法51条と熊本県の立地基準
出典:建築基準法51条、同法施行令130条の2の2・130条の2の3、熊本県「産業廃棄物の処理の用に供する施設の立地に関する基準」

譲り受けられる施設が見つからず、新しく会社と施設を作る場合は、許可の書類よりも先に場所が問題になります。都市計画区域の中では、産業廃棄物処理施設の用途に使う建物は、都市計画で敷地の位置が決まっているか、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て許可した場合でなければ、新築・増築できません(建築基準法51条、同法施行令130条の2の2)。

例外として、工業地域・工業専用地域の中で一定の処理能力以下のものは、この制限を受けません。たとえば、がれき類や木くず(事業活動に伴うもの)の破砕施設は1日100トン以下、廃プラスチック類の破砕施設は1日6トン以下です(同法施行令130条の2の3第1項3号)。処理能力が大きいほど、置ける場所が限られるということです。

熊本県の立地基準では、予定地の使用の権原や承諾を得ていること、県と市町村の都市計画・開発計画と整合が図れることなどが求められます。そのうえで、施設の構造は県の構造基準に合わせる必要があり、保管設備をコンクリート製の仕切りで囲う、破砕機をコンクリートの床に固定するといった設備が要ります。当法人では、土地の候補が出た段階で、用途地域と処理能力から51条の手続が要るかを先に確かめます。

補助金で買った機械は、自由に売れません

国の補助金で買った機械を売る・貸すときの決まり
出典:補助金適正化法22条、同法施行令13条・14条

処分場の機械を補助金で買っている場合は、売り手の側にも注意が要ります。国の補助金で取得した機械や重要な器具(各省各庁の長などが定めるもの)は、承認を受けないで、交付の目的に反して使ったり、譲渡・交換・貸付け・担保に入れたりしてはならないとされています(補助金適正化法22条、同法施行令13条4号)。

承認が要らないのは、補助金の全部に相当する額を納めた場合と、補助金の目的と耐用年数をもとに各省各庁の長などが定めた期間を過ぎた場合です(同法施行令14条)。事業譲渡で機械ごと買い取る計画なら、売り手の補助金の交付規程と、承認の手続を先に確かめておかないと、契約の後で動けなくなります。県や市町村の補助金は、その補助金の交付要綱の決まりに従います。

よくある質問

処分業の許可を持つ会社を買えば、すぐに営業できますか?

株式を買う形で、会社がそのまま残るなら、許可もそのままなので営業を続けられます。ただし、役員が変わったら30日以内、大株主が変わったら原則10日以内に変更届を出し、新しい役員が欠格要件に当たらないことを確かめておく必要があります。

事業譲渡でも、施設の許可だけは引き継げますか?

処理施設の設置許可は、県知事の譲受けの許可を受ければ引き継げます。ただ、処分業の許可は引き継げないので、施設を譲り受ける会社は処分業の許可も新しく取ります。施設の許可と業の許可を、同じ日程の中でそろえることが大切です。

許可を持つ会社が、別の許可業者と合併するとどうなりますか?

許可を持つ会社が存続すれば、その会社の処分業の許可はそのままです。ただし、合併で消える相手の会社の処分業の許可は引き継がれません。相手が行っていた処分が存続する会社のいまの許可の範囲に入っていなければ、事業の範囲の変更の許可(廃棄物処理法14条の2第1項)を受け、相手の処分場が別の県にあれば、その県で新しく許可を受けます。処理施設の設置許可は、相手の会社が施設の許可を持っていれば、その施設を引き継ぐことになるので、合併について県の認可を受けます(同法9条の6第1項)。

個人で処分業をしていた人が亡くなったら、家族が続けられますか?

処理施設の設置許可は、相続人が引き継ぎ、相続の日から30日以内に届け出ます。処分業の許可には相続の規定が無いので、事業を続けるには相続人が新しく処分業の許可を受ける必要があります。

出典・参考

まとめ

産業廃棄物の処分業の許可は、事業譲渡・合併・会社分割・相続で引き継ぐ規定が無く、事業を受け取る会社が新しく取ることになります。処理施設の設置許可は、県の譲受けの許可や合併・分割の認可で引き継げます。会社をそのまま残す株式の買収なら許可は動きませんが、変更届と役員の欠格要件の確認が欠かせません。施設を新しく作るなら、まず場所が建築基準法51条と県の立地基準に合うかを見ることが出発点です。

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ノーサイド行政書士法人は、熊本の建設業許可・産業廃棄物の許可・経営事項審査を支援している行政書士法人です。処分場の譲受けや買収を考え始めた段階で、どの形なら許可を活かせるか、何を取り直すかを一緒に整理します。

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