専任技術者は現場に出られる?例外の要件と金額の基準【令和8年版】

技術者・経管
専任技術者は現場に出れないって本当ですか?

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結論から言うと、原則は出られません。ただし例外が2つあります。

そして令和6年12月13日に、この論点は大きく変わりました。 名前が「専任技術者」から「営業所技術者」になり、同時に法律上の兼務の特例(建設業法26条の5)ができています。

古い記事のままだと金額が合いません。この記事では、①原則 ②昔からある例外 ③令和6年12月13日から始まった新しい特例の3つを、条文の根拠と金額つきで分けて説明します。

まず、名前が変わりました。いまの正式名称は「営業所技術者」です

令和6年12月13日から、建設業法の条文が「専任技術者」ではなく「営業所技術者」になりました。 特定建設業の場合は「特定営業所技術者」です。

令和6年12月12日まで令和6年12月13日から
一般建設業専任技術者営業所技術者
特定建設業専任技術者特定営業所技術者

要件そのものは変わっていませんが、様式も変わっていて、令和6年12月13日以降の申請・届出は新しい様式で出します。

以下、検索されている言葉に合わせて「専任技術者」と書きますが、正式名称は営業所技術者だと思って読んでください。

原則:営業所に専任だから、現場には出られません

営業所技術者は、その営業所で建設工事の請負契約の締結と履行について、技術面の管理をする人です。営業所に常勤して専任することが許可の条件になっています。

一方、工事現場には主任技術者(または監理技術者)を置かなければなりません。

この2つを同じ人が両方やると、どちらも「専任」になりません。 だから原則として、営業所技術者は現場に出られない、という話になります。

例外①:現場への専任が要らない工事なら、主任技術者を兼ねられます

営業所技術者は、次の3つの条件をすべて満たす工事なら、その現場の主任技術者を兼ねられます。

  • ① 現場への専任が必要な工事でないこと
  • ② その営業所で請負契約を結んだ工事であること
  • ③ 工事現場と営業所が近く、営業所との間でいつでも連絡がとれる体制にあること

兼ねるときは、営業所技術者がその会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが前提です(国土交通省「現場技術者の専任合理化」)。

ポイントは①の「現場への専任が必要な工事でないこと」で、これは金額で決まります。

現場への専任が必要になる金額(令和7年2月1日〜)

工事の種類現場への専任が必要になる請負代金
建築一式工事9,000万円以上
建築一式以外4,500万円以上

建設業法施行令27条に、こう書かれています。

法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、九千万円)以上のものとする。

この金額は近年2回上がっています。

時期一般の工事建築一式工事
〜令和5年1月3,500万円以上7,000万円以上
令和5年1月〜令和7年1月4,000万円以上8,000万円以上
令和7年2月1日〜(現在)4,500万円以上9,000万円以上

3,500万円・4,000万円と書いてある解説はすべて古い数字です。 当サイトの本文も、2024年の公開時は4,000万円と書いていました。現在の正しい数字は4,500万円(建築一式9,000万円)です。

ただし、金額だけでは決まりません

施行令27条の対象になるのは「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事」です。具体的には、国や地方公共団体が注文者の工事、学校・病院・工場・店舗・共同住宅など、多くの人が使う建物の工事が広く入ります。

「公共工事」という意味ではありません。 民間工事でも入ります。逆に個人住宅の建築はここに入りません。

つまり実務では、個人住宅を除くほとんどの工事が、4,500万円以上なら「現場に専任が必要な工事」になる、という感覚で見ておくと外しません。

例外②:令和6年12月13日から、専任が必要な現場でも兼務できるようになりました

ここが新しい話です。 建設業法に26条の5「営業所技術者等に関する主任技術者又は監理技術者の職務の特例」が新設され、令和6年12月13日から施行されています。

例外①は「専任が要らない小さい工事なら兼ねてよい」でしたが、26条の5は「専任が必要な工事でも兼ねてよい」という、まったく別の話です。

そのかわり、条件がかなり細かく決められています。

何を条件根拠
契約その営業所で締結した請負契約に係る工事であること法26条の5第1項1号
金額請負代金が1億円未満(建築一式は2億円未満)施行令33条
現場の数兼ねられる工事現場は1つまで法26条の5第2項・施行令34条
距離・時間営業所と現場の距離が1日の勤務時間内に巡回可能で、災害や事故が起きたときの移動時間がおおむね2時間以内施行規則17条の5第1号
下請下請契約は3次下請までに限られること施行規則17条の5第2号
連絡要員営業所と現場の両方に、連絡などの措置を講ずる人を置くこと(土木一式・建築一式は実務経験1年以上の人に限る)施行規則17条の5第3号
施工体制現場の施工体制を情報通信技術で確認できる措置を講じていること施行規則17条の5第4号
計画書人員の配置を示す計画書を作り、現場に備え置き、帳簿と同じ期間、営業所で保存すること施行規則17条の5第5号
ICT機器営業所から現場の状況を確認できる映像と音声の送受信ができる情報通信機器と、それを使える通信環境があること施行規則17条の6

監理技術者を兼ねる場合は、さらに条件が付きます

特定営業所技術者が監理技術者の職務を兼ねる場合は、その人が監理技術者資格者証の交付を受けていて、監理技術者講習を受講済みであることが必要です(法26条の5第3項)。

実務としてどう見るか

「カメラを付ければ兼務できる」という単純な話ではありません。 現場に連絡要員を置き、人員配置計画書を作って保存し、下請は3次までに抑える必要があります。書類と体制の準備が要る制度です。

一方で、営業所と現場が2時間圏内で、1億円未満の工事が1本という状況なら、はっきり使えます。技術者が足りない会社にとっては、知っておく価値のある制度です。

まとめ:3つを混同しないでください

対象になる工事兼ねられる相手金額の線
原則すべて兼ねられない-
例外①(従来からの取扱い)現場専任が要らない工事主任技術者4,500万円未満(建築一式9,000万円未満)
例外②(法26条の5・令和6年12月13日〜)現場専任が必要な工事でも可主任技術者・監理技術者1億円未満(建築一式2億円未満)/現場は1つまで

4,500万円と1億円は、まったく別の場面で出てくる金額です。 ここを取り違えると話が合わなくなります。

熊本県での話です。県によって確認のしかたが違います

金額と条件は法律・政令・省令で決まっているので全国共通ですが、申請や届出のときに何を出させるかは、都道府県によって違います。

たとえば営業所技術者の常勤性を確認する書類は、熊本県では賃金台帳・出勤簿・源泉徴収簿などでも通りますが(健康保険証は令和7年12月2日から使えません)、県によってはこれらを認めず、年金事務所や税務の記録に絞っているところもあります。

よくある質問(質問回答動画から)

経管は現場に出られないと聞きますが、一人親方が経管と営業所技術者を兼ねて現場にも出ているのは矛盾しませんか

矛盾しません。一人親方は、経管と営業所技術者を1人で兼ねたうえで、条件を満たせば現場の主任技術者も務められます。

経管と営業所技術者は、同じ営業所に勤務するなら1人で兼ねられます(建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】)。営業所技術者は営業所に専任が原則ですが、この記事の例外①のとおり、現場への専任が要らない工事(1件4,500万円未満、建築一式工事は9,000万円未満の工事など。建設業法26条3項、施行令27条)で、営業所の近くにあって常時連絡がとれる現場などの条件を満たせば、主任技術者を兼ねられます。国土交通省も、令和6年12月13日の見直しのあとも、この兼務は引き続き使えるとしています。さらに、専任が要る工事でも、1億円未満(建築一式工事は2億円未満)・現場は1つまで・情報通信機器を使うなどの条件で兼ねられる特例ができました(建設業法26条の5、施行令33条)。

ウェブ会議や遠隔臨場ができるようになり、1か所にとどまっていないと仕事ができない時代ではなくなりました。人が減っていくなかで、品質を保ちながら生産性を上げるために、国も制度を見直しているところだと当法人は見ています。

出典・参考

あわせて読みたい

一人親方・小さな会社ほど、この論点は切実です

この内容は、TikTokの動画でも解説しています。動画を見る(TikTok)

一人親方や少人数の会社では、営業所技術者が現場作業員を兼ねているのが普通です。 「原則は現場に出られません」と言われても、実際には出ないと仕事が回りません。

だからこそ、例外の要件を正確に押さえておく価値があります。

例外①を、4つの条件に分けて整理すると

上の3要件は、実務では次の4つに分けて確認しています。中身は同じです。

#条件確認するところ
①現場の専任性が求められていない工事であること請負代金が4,500万円未満(建築一式は9,000万円未満)か
②その営業所で契約した工事であること契約書の締結営業所
③営業所技術者の本来の職務を果たせる、近接した現場であること同一市町村内または10km以内が一応の目安
④所属の営業所と常時連絡が取れること携帯・オンラインでの連絡体制

③と④に明確な数値基準はありません。 「同一市町村内または10km以内」はあくまで目安で、条文にも通知にも書かれていません。距離だけでは決まらないので、営業所と現場の位置、移動にかかる時間、連絡の手段をあわせて見て判断します。

なお、令和6年12月13日から始まった建設業法26条の5の特例のほうは、③にあたる部分が条文で数値化されています(1日の勤務時間内に巡回可能/災害等の発生時の移動時間がおおむね2時間以内)。こちらを使うなら、上の表ではなく26条の5の要件表のほうを見てください。

★税込4,000万円と書いてある解説は古い数字です

以前は「税込4,000万円未満」と説明されていましたが、令和7年2月1日から4,500万円(建築一式9,000万円)に上がりました。 当サイトでも以前は4,000万円と書いていました。現在の正しい数字は4,500万円です。

判定は請負代金の額で行います。請負代金の額は、消費税と地方消費税を含めた金額です(建設業許可事務ガイドライン【その他】2)。税抜きで4,500万円を切っていても、税込みで4,500万円以上なら、金額の線は越えています。

当法人のご紹介

ノーサイド行政書士法人は、熊本県全域の建設業許可(新規・更新・業種追加)、経営事項審査、事業年度終了届、解体工事業の登録などを扱う行政書士法人です。経済産業省の認定経営革新等支援機関で、電子申請(JCIP)にも対応しています。

熊本県内どこからでもお受けしています。書類のやりとりは郵送とLINEでできます。受付は平日10:00〜17:00です。

手続きの解説動画は、YouTube「建設業許可・経審のプロ ゆうせい行政書士」でもご覧いただけます。

この手続きのご依頼について

この記事の手続きは、建設業許可(新規)のページで、要件・必要書類・費用・流れをまとめています。

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