経審を2つの業種で受けるとき、完成工事高はどう分ける?【熊本】

経審を2つの業種で受けるとき、完成工事高はどう分ける?【熊本】 経審・公共工事

電気工事と電気通信工事、とび・土工と造園のように、1つの会社が2つ以上の業種で経営事項審査(経審)を受けることがあります。そのとき必ず出てくるのが、「この工事はどちらの業種の完成工事高に入れるのか」という問題です。この記事では、2つの業種で経審を受けるときの完成工事高の分け方を、熊本県の「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」と、建設業法施行規則の工事経歴書(様式第二号)の記載要領にそって説明します。

この記事のポイント

  • 完成工事高は、工事1件ずつ、その中身からどの業種の工事かを決めて、業種ごとに積み上げます
  • 工事経歴書は業種ごとに作り、元請工事を大きい順に7割を超えるところまで、続けて全体の7割を超えるところまで書きます
  • 業種ごとの完成工事高と「その他工事」を足した合計は、損益計算書の完成工事高と一致させます
  • 審査を受けない業種の工事は「その他工事」に入れるか、決められた組み合わせに限って審査を受ける業種へ振り替えられます。両方とも審査を受けるなら、振替はできません
  • 契約書類(上位3件)は、業種ごとに要ります

完成工事高は、工事ごとに業種を決めて積み上げる

2つの業種で経審を受けるときに完成工事高を業種ごとに積み上げる考え方
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」

経審の完成工事高は、業種ごとに出します。2つの業種で受けるなら、決算の完成工事高を、工事1件ずつ「どの業種の工事か」で分けて、業種ごとの合計を作ることになります。

どの業種に入れるかは、その工事の中身で決めます。熊本県の手引きでは、審査では契約書類でその業種の工事であることを確かめるとしており、契約書が無いなど、審査を受ける業種の工事であることが確認できないものは「その他工事」として扱います。点数の都合で振り分けるのではなく、契約書類の工事名と工事の中身から決める、というのが基本です。

1件の契約に2つの業種の工事が混ざっているときは、契約書類の内訳を見ないとどちらに入れるか決められません。当法人では、注文書や見積書の内訳まで見て、その工事の中心がどちらの業種かを判断しています。

工事経歴書は業種ごとに作り、7割まで書く

経審のときに工事経歴書に書く工事の範囲(元請7割、全体7割、未成工事)
出典:建設業法施行規則 様式第二号 記載要領

工事経歴書(様式第二号)は、建設工事の種類ごとに作ります。2つの業種で経審を受けるなら、工事経歴書も業種ごとに1枚ずつです。

経審(経営規模等評価)を受ける会社の場合、記載要領では書く範囲が次のように決められています。

  1. 元請工事について、請負代金の額の合計のおおむね7割を超えるところまで、金額の大きい順に書く
  2. 続けて、残りの元請工事と下請工事について、全部の完成工事の合計のおおむね7割を超えるところまで、金額の大きい順に書く
  3. さらに続けて、主な未成工事を金額の大きい順に書く

1と2では、軽微な建設工事(1件500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅)は、10件を超えて書く必要はありません。小さな工事がたくさんある業種では、この10件の上限があるので、大きい工事が少ないと7割に届く前に書き終わることがあります。

合計は損益計算書の完成工事高と一致させる

業種ごとの完成工事高とその他工事の合計を損益計算書と一致させる仕組み
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」

業種ごとに分けた完成工事高は、最後に全体で合わせます。手引きでは、審査を受ける業種の完成工事高と「その他工事」の合計が、決算変更届(事業年度終了届)に付けた損益計算書の完成工事高と一致するとしています。

区分入れるもの
審査を受ける業種A業種Aの工事と確かめられる工事
審査を受ける業種B業種Bの工事と確かめられる工事
その他工事審査を受けない業種の工事、契約書類で業種が確かめられない工事、JVの構成員としてJVから下請した工事
合計損益計算書の完成工事高と一致

また、経審の申請書の業種別の金額は、決算変更届の「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)」の数字と一致させます。経審のときに業種の分け方を変えるなら、様式第三号の数字とのつながりも確かめておきます。

審査を受けない業種の工事は「振替」か「その他工事」

経審で完成工事高を振り替えられる業種の組み合わせ
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」完成工事高計上にあたっての注意

許可を持っていても経審を受けない業種の完成工事高は、原則として「その他工事」に入れます。ただし手引きでは、決められた組み合わせに限って、その業種の完成工事高を、工事の内容に応じて審査を受ける業種に振り替えられるとしています。

  • 一式工事への振替:とび・土工・コンクリート、舗装、しゅんせつ、水道施設などは土木一式へ、大工、左官、屋根、塗装、防水、内装、建具などは建築一式へ(専門工事から一式工事への一方向だけ)
  • 専門工事どうしの振替:とび・土工・コンクリート と 石・造園、電気 と 電気通信、管 と 水道施設、内装 と 建具、屋根 と 板金

大事なのは、振替ができるのは、振り替える元の業種で審査を受けないときだけということです。電気と電気通信の両方で経審を受けるなら、電気の工事は電気に、電気通信の工事は電気通信に、それぞれの中身どおりに入れます。片方の点数を上げるために、もう片方の工事を寄せることはできません。

契約書類は業種ごとに上位3件

2つの業種で経審を受けるときに業種ごとに必要な契約書類
出典:熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」提出書類一覧

熊本県の経審では、審査を受ける業種ごとに、元請・下請の区分なく請負金額の上位3件の契約書類(契約書、または注文書と請書)を付けます。2つの業種で受けるなら、最大で6件分の契約書類が要ることになります。

工事の振り分けを変えると、それぞれの業種の上位3件も入れ替わります。振り分けを決めたら、業種ごとに上位3件を並べ直し、その契約書類がそろっているか、工事名が工事経歴書と合っているかを確かめます。

よくある質問

2つの業種で経審を受けるときのよくある質問

去年は1つの業種だけで受けました。今年から2つにできますか

できます。経審は申請のたびに、審査を受ける業種を選びます。ただし、新しく加える業種も、2年平均か3年平均かに合わせて過去の期の完成工事高を業種別に出す必要があります。前の期の工事も、業種ごとに分け直して数字を作ります。

前年まで受けていた業種を今年は受けない場合は?

手引きでは、前年度に審査を受けて今年度は受けない業種の完成工事高は、すべて「その他工事」に合わせて計上するとしています。振替ができる組み合わせなら、振替を検討します。

小さな工事が多くて、7割まで書くと何十件にもなります

軽微な建設工事は、10件を超えて書く必要はありません。そのぶん、どの工事をどの業種に入れたかの集計表を手元に残しておき、合計が業種ごとの完成工事高と合うようにしておきます。

出典・参考

まとめ

  • 完成工事高は、工事1件ずつ中身で業種を決め、業種ごとに積み上げます。契約書類で確かめられない工事は「その他工事」です
  • 工事経歴書は業種ごとに作り、元請7割、全体7割、未成工事の順に書きます。軽微な工事は10件まで
  • 業種ごとの完成工事高とその他工事の合計は、損益計算書の完成工事高と一致させます
  • 振替ができるのは、振り替える元の業種で審査を受けないときだけです
  • 契約書類は業種ごとに上位3件。振り分けを変えたら上位3件も並べ直します

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